ジョジョの奇妙な元ネタ紹介~黄金の風編~ 最終回「ローリング・ストーンズ」ほか
最終回60分SPの放送から少し時間が空いてしまいましたが……「ジョジョの奇妙な元ネタ紹介~黄金の風編~」最後の更新となります!
まずは、本日配信になりました、サウンドトラック第3弾のご紹介から。
クライマックス付近のOP曲として使用された、イタリア語のセリフが入る「裏切り者のレクイエム Diavolo Ver.」「裏切り者のレクイエム Giorno Ver.」も収録。微妙にセリフの内容も異なっているので、テロップと照らし合わせつつ何度でもお楽しみください!
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 O.S.T vol.3 Finare
さて、前回は「グリーン・ディ&オアシス」のところで更新が止まっていたのでした。
というのも、洋楽バンドの「元ネタ」がそこからしばらくなかったもので……
(「レクイエム」もある種音楽ネタではあるのですが、ヴェルディやモーツァルトなど、著名な作曲家によるものが複数種類あり、これといった特定の元ネタがあるわけではありません)
バンドものの「元ネタ」を持つスタンドとしてひさびさに出てきたのが、エピローグ「眠れる奴隷」に登場した「ローリング・ストーンズ」でした。メンバー全員が70代にして現役、ボーカルのミック・ジャガーはイギリス王室から騎士(ナイト)の称号を授与されるなど数々の栄光に輝く、もはや説明不要のロックバンドですね。
「運命の形を掘る」という「ローリング・ストーンズ」の能力。掘り出したのはブチャラティの「死の形」……ブチャラティのスタンド「スティッキー・フィンガーズ」の元ネタもローリング・ストーンズの同名アルバムだったことを思い出すと、なんとも示唆的です。(「スティッキー・フィンガーズ」の元ネタ紹介はこちら)
「運命があらかじめ決まっていたとして、そこに向かう道のりに意味はあるのか?」
ギャング組織の内部抗争から始まり、ほとんど宗教的と言ってもいいテーマに肉薄するのが、「黄金の風」編のすごいところです。
「ローリング・ストーンズ」の本体、彫刻家スコリッピもミケランジェロを引き合いに出していましたが、西欧の芸術に深い敬愛を持っている荒木先生だからこそ(先生自身はクリスチャンというわけではないと思います)辿り着いた境地なのかなという気がします。
ちなみに、最終回60分SPの開始時にダイジェスト風の映像とともに流れたクラシック曲は、カール・オルフが作曲したカンタータ(器楽伴奏つきの歌曲集)「カルミナ・ブラーナ」より「おお、運命の女神よ」というパートの抜粋。
実は、第2弾EDテーマとして使用されていたEnigmaの「Modern Crusaders」の間奏部分にもその旋律が使用されています。最後の最後で「元ネタ」としてのクラシック曲が流れたことにより、その意味合い――「運命」というテーマの連なり――が理解された人も多かったのではないでしょうか?
Enigma「Modern Crusaders」
「カルミナ・ブラーナ」より「おお、運命の女神よ」
キリスト教的な境地に接近していくストーリーに対して、最後の最後までロックバンド的な「元ネタ」の引用を貫いた荒木先生。
その間に橋をかける音楽として、クラシック曲からの引用を得意とし、かつジョジョの「元ネタ」としても使われたことのあるミュージシャン(第4部「ダイヤモンドは砕けない」に同名のスタンド「エニグマ」が登場しました。当時の紹介記事はこちら)の楽曲を使用するとは!
アニメスタッフのこうしたセンスにはもう、脱帽という他ありませんね。
最後にスタッフの個人的な感想を。
第5部は、長い『ジョジョ』シリーズの中でも本当に好きな部で、アニメ化されると聞いたときも正直かなり不安がありました。原作が理想化されすぎていたんですね。
しかし実際に観てみたら、「アニメ化」とはこういうことだといわんばかりの素晴らしい作品になっていて。
抜けるような青空の色彩をはじめとする、イタリアの空気感を見事に表現した美術。
原作の隙間を埋める、フーゴや暗殺チーム回りのエピソード。
ギャングらしく銃弾も飛び交う激しいバトルシーンの、迫力ある音響。
キャスト陣の、哀愁と若さゆえの衝動を絶妙なバランスでブレンドした名演。
38話でのみ放送されたOP映像の、ここにきてジョルノが「DIOの息子」であるということを強調するのか! といったカットにも、ここまで同じスタッフでアニメ化してきたからこその歴史を感じ胸が震えました。本当に愛にあふれた、素晴らしい作品だったと思います。
あらためて、スタッフの皆さま、ありがとうございました。
では、いずれアニメ化されるはずの第6部放送を楽しみにしつつ、最後はやはりこの挨拶で締めましょう。
アリアリアリアリ…………アリーヴェデルチ!
Parte 5
FINE